本書はタイトルにある通りフェラーリの買い方について書かれた本である。 普通のフェラーリはもちろん、F1マシンやスペチアーレ・フェラーリ(スペシャルモデル)の買い方にまで言及されている。それこそどこで買えるかといった超基本的なことから、オプション選択、支払い方法、自動車保険や維持費といったことまで網羅されているのでフェラーリの購入を検討している方にとっては非常に参考になる内容となっている。
「フェラーリの買い方」について書かれた本というと富裕層が対象なのではないかと思ってしまうが、本書の対象は富裕層ではなく「普通の人」である。フェラーリオーナーになることを夢見つつも、どこかでその夢を諦めてしまっている方はぜひ読んでほしい1冊となっている。私もいわゆる「普通の人」(もしかしたらそれ以下かもしれないが)であり、フェラーリなんて自分には縁のないものだと思っていたが、本書を読んで「私でもフェラーリが買える!」と思わず心躍ってしまった。
ただし、著者が購入を勧めるのは(当たり前だが)前述したような新車のフェラーリやF1マシンやスペチアーレではなく中古の量産フェラーリである。その方が断然お買い得であり、店(人)選びさえ失敗しなければ良いコンディションのフェラーリをお得に手に入れることができる。また、購入後の保管の仕方やメンテナンス費用、買い替えについても、著者の実体験に基づいて詳細に書かれているので、このあたりが気になっている方には非常に参考になるだろう。
中古のフェラーリと聞くとがっかりする人もいるかもしれないが、新車のフェラーリの価格は当たり前だが普通の人には手が届かないほど高い。しかもその新車価格は購入後2〜3年で2〜3割下がると言われている。普通の人にとっては高いお金を払って新車を買うメリットはないのである。ただし、2〜3年をすぎると価格の下落が緩やかになるので、そのタイミングを狙って買うのが普通の人にとっては最善というわけである。
しかしいくら中古とはいえ普通の人がフェラーリを買うことができるのだろうか。そう思う方もいるかもしれないが、本書では年収280万円のフェラーリオーナーも紹介されている。
“貧乏フェラーリオーナーの聖地”コーナーストーンズで誕生した、もっとも収入の少ないフェラーリオーナーは、静岡県在住の※●●●●●氏(独身・実家住まい。2年間で3台のフェラーリを乗り継いだ後、ランボルギーニを目指すため、現在は一旦卒業中)で、年収は280万円でした。恐らく世界記録でしょう。
※本書では実名で記載されているが、一応伏せておく
それにしても実家暮らしとはいえ、2年間でフェラーリを3台乗り継いだというのは驚きである。
普通の人がフェラーリを買っていいものなのか、身の丈に合わないのではないかと心配する方もいるかもしれないが、これに対しての著者の意見は次のとおりである。
近年はSNSの発達により、フェラーリオーナー同士が簡単に繋がるようになりました。それまで別世界だった富裕層との交流が始まり、例外なくめくるめく人脈形成が展開して行きます。
自分と富裕層とで話が合うだろうか?と思われるかもしれませんが、心配はいりません。あなたたちには、フェラーリを愛する者同士という、大きな共通点があるのですから。
(中略)
こうしてフェラーリオーナー同士のミーティングは、あなたの人生の糧になってゆくことでしょう。
「フェラーリを買って本当によかった」
99%以上の人が、心からそう思います。フェラーリは、単なる高級車でも、単に性能のいいだけのスーパーカーでもなく、別世界のパスポートだったことを思い知るのです。
たしかに、フェラーリに乗って街を走れば、それこそスーパースター気分を味わえるだろうし、オーナー同士のつながりができ、自分の知らない世界を知ることができればそれは人生の糧となるだろう。「別世界へのパスポート」という言葉もあながち大げさではないくらい、人生が劇的に変わることは容易に想像できる。
普通の人でもフェラーリを買うことができる、そして買ったあとは自分の知らない世界を知ることができ人生の糧となる。こう主張する著者の清水氏はなんと(本書執筆時点において)過去20年間で10台のフェラーリを買ったという。著者が最初のフェラーリを購入したのは某出版社に勤務していたサラリーマン時代であるというのは、もはや本書を読んだあとでは驚きはない。ただ、著者の影響によりサラリーマンがフェラーリを手にするという「フェラーリ大衆化現象」が日本で起こったことは世界的に見ても特異なことらしい。
そんなわけで本書を読んで私もいつかフェラーリをいつか私も手に入れてみたいと思ったのだが、私は2003年に自動車運転免許を取得して以来一度も車を運転したことがない筋金入りのペーパードライバーである。フェラーリの購入を検討する前にまずはペーパードライバー講習に通おうと真剣に思った。
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