【書評】『ビジネスエリートになるための教養としての投資』(奥野一成著、ダイヤモンド社)

書評

 

衰退していく日本を止めるには「投資家の思想」を持つことが必要

本書は、農林中金バリューインベストメンツの最高投資責任者である著者が、我々日本人に対して「投資家の思想」を持つ必要性を訴えた1冊である。日本人のほとんどは「労働者の思想」しか持っていないが、これでは衰退していく日本を止めることはできない。日本の未来を切り開き、そして生き残るためには「投資家の思想」を持つことが必要であるというのが著者のメッセージである。

 

なぜ「投資家の思想」を持つことが必要なのか

「投資家の思想」を持つには、もちろん投資をしなければならない。ここでいう投資とは、成長が期待できる分野(事業)に金銭を投じて、その成長に応じたリターンを得るということである。もちろんリターンを得るためには、さまざまな知識を総動員し、自分自身で仮説を立てて、それを検証していかなくてはならない。こうしたプロセスは実は投資だけではなく、ビジネスで成功するためにも必要なのである。投資で成功するために必要な能力を高めることは、ビジネスで成功する能力も高めることになるのである。

 

「労働者2.0」を目指せ

とはいえ、いきなり「投資家の思想」を持てと言われても何をどうしたら良いかわからない人は多いと思う。そういう人たちへの著者からの提案は、まずは労働者2.0、つまり主体性を持って働くことを目指そうというものである。

 

労働者1.0の「他人に働かされている」というマインドセットを、「自分が働いている」に切り替えてみて下さい。

(略)

自分で主体性を持って働くようになると、自分の世界も広がります。労働者1.0は、自分が属している狭いコミュニティの中での人間関係しか構築できません。でも、労働者2.0として主体性を持って働くようになると、もっと広い世界に目が向くようになります。

(略)

ここまで来れば、自分の会社が倒産したとしても、それまでに築いてきたスキルや人脈を活用することによって、どの会社にも移籍できますし、起業するという道も開けるでしょう。

 

やるべきことは自己投資→株式投資

「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになったが、100歳以上の高齢者の数が爆発的に増えている。長生きすることはおめでたいことでもあるが、長生きするということはそれだけリタイア期間(給与収入が得られない)が長くなるということを意味する。今の高齢者はまだ良いだろうが、例えば30代の私やそれより若い世代は年金だけに頼るというのは難しいかもしれない。そうしたときに必要なのは、積極的に自己投資を行って収入を増やし、その増えた収入で株式投資を行うことである。株式投資を行うことで、自分自身が働けない年齢になっても、他人の労働によるキャッシュフローも得られるからである。

 

買うべきは参入障壁を持った企業の株

本書では金融資産を増やすためにはどのような企業の株を買えば良いかという説明も丁寧にされている。簡単に言えば、参入障壁を持った企業の株を買うのが良い。参入障壁を持つ企業は生き残る力があり、長期的な成長が期待できるからである。もちろんそうした企業を見つけるのは簡単ではない。たが、自分で仮説を立てて、検証するということで投資能力を高め、それがビジネスで成功する能力も高めることにもつながるのである。

 

まとめ

著者は人生100年時代を生き抜くために、自己投資や株式投資をせよと主張している。これまで、私個人は高齢化が進んで必要な老後資金が足りなくなってしまうことについては、老後も働けば良いという考えでいた。しかし、年を重ねれば、体力や判断力は衰えるものだし、何より体を悪くして働けなくなるという可能性もある。そうしたときに、十分に暮らしていけるだけのキャッシュフローがあれば、生活に困るということはなくなるのではないだろうか。著者が提唱する参入障壁を持った企業への投資はハードルが高いかもしれないが、投資信託の選び方についても書かれているので、投資初心者の方にも非常に参考になる内容となっている。

 

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