【書評】『ゼロから完歩する100kmウォーク。』(歩き方錬成委員会著)

書評

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富士山一周ウルトラフリーウォーキングにエントリーした

2021年6月11日(土)、12日(日)に開催される「第5回富士山一周ウルトラフリーウォーキング」という大会にエントリーした。これは富士山の周囲125kmを32時間以内に歩くという大会である。私は日頃からランニングをしており、体力には自信がある。そのため完歩はまず間違いないだろうという軽い気持ちでエントリーした。ただ、不安がまったくないかと言えば嘘になる。最大32時間も歩き続けなければならないし、完歩率が58%とそれほど高くないのも気になるところである。完歩するためにはきちんと準備をすることが必要だと思い直して、まずは関連書籍を探してみることにした。

 

ウルトラウォーキングに関する書籍はほぼない

そんなわけでウルトラウォーキングに関する書籍を探しに書店に行ってみたのだが、健康のためのウォーキングに関する書籍はあるものの、ウルトラウォーキングに関する書籍はなかった。その後、ネットで検索したところ、『ゼロから完歩する100kmウォーク。』(歩き方錬成委員会著)という書籍がKindle版でのみ読めることを知り、早速買ってみることにした。ちなみにこちらの書籍は【1】:トレーニング編、【2】:本番当日編、【3】:準備物編と全3巻で構成されているが、1巻あたりのボリュームは少なくそれぞれ10分程度で読むことができる。そのため、3巻すべてを読破する負担はほとんどない(価格も安い)。ただ、ボリュームが少ないと言っても内容が薄いというわけではなく、大事なことに絞って書かれているので、手っ取り早く100kmウォークに関する知識を得たいという方には非常におすすめである。

 

ウルトラウォーキングに向けてやるべきこと

100kmを超える距離を歩くウルトラウォーキングを完歩するためのコツとして、本書【1】:トレーニング編では、事前準備が大事であると書かれている。たしかに、不安要素を多く抱えたまま大会に参加すると、あれこれ考えているうちにエネルギーが無駄に消費され体力にも影響が出てくる。そのため、トレーニング計画や戦略立案、ウェアや持ち物の確認は事前にしっかりと行い、本番までに不安要素を減らしておくことが重要となる。中でも一番大事なこととして、著者は本番で完歩できるイメージを持つことであると述べている。そのため、本書では本番までにできるだけ20km〜50kmの長い距離を数回歩くことを推奨している。ちなみに運動経験がほとんどない人はいきなり長距離を歩くと、逆に不安要素を増やすことにもなりかねないので、最初は短い距離から歩き始め、距離は徐々に増やすようにすると良いだろう。

 

装備品(携行品)はどのように選ぶべきか

私が参加する予定の富士山一周ウルトラフリーウォーキングは最大32時間歩き続けなければならないため、それなりの装備が必要となる。本書の【3】:準備物編では装備選びの考え方から、具体的にどの商品を選んだら良いかということも書かれているので非常に参考になる。装備品についての知識がないという方は著者の言う商品を選んでみるもの良いだろう。ただし、本書が書かれたのは2017年である。それを念頭に置き、新しいバージョンが出ているようであればそれを買うようにしたい。装備品は自分で選びたいと思う方については、自分の身体にかかる負担が少なくなるよう、できるだけ軽い物、クッション性のある靴などを慎重に選ぶようにしたい。

 

大会当日を迎えてから気をつけるべきこと

大会当日、いざ大会がスタートしたらひたすら歩くのみである。ただ歩くのみと言っても無計画に歩いてはいけない。本書の【2】:本番当日編では、あらかじめ目標ペースや格チェックポイントへの到着予定時刻を(ざっくりと)設定し、当日はそのペースをとにかく守ることが大事であるとしている。これを行っておくと、次のチェックポイントまでの距離や時間を把握できるため、余計な心配事を減らすことができるのである。また、最初は周りに釣られてオーパーペースにならないようにすることも重要である。オーバーペースは必要以上に体力を消耗させるので、長丁場のウルトラウォーキングではとにかく自分のペースを守るよう心がけたい。ちなみにペース設定については前半はキツめに、後半は体力の消耗を考慮してユルめに設定しておくと後半にペースが落ちても焦ることはないだろう。

 

本書は100kmウォーク完歩を目指す人には非常におすすめ

本書の著者は歩き方錬成委員会となっているため、性別、年齢などは一切不明である。著者はこれまで5回100kmウォークに参加しており、1回目、2回目は途中でリタイアしている。ただし、3回目から5回目までは完歩しており、タイムも回を重ねるごとに速くなっている。そんな著者が試行錯誤しながら編み出した完歩するための考え方や練習法、装備品の選び方などは過去リタイアしてしまった人やこれから挑戦してみたいという人には非常に参考になるだろう。私も本書に繰り返し目を通し、しっかりと事前準備をして富士山一周ウルトラフリーウォーキングに臨みたいと思う。

 

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